APIとは何か? 仕組みとメリットをやさしく解説
APIとは何か?
私たちの身の回りには、様々なITサービスやアプリケーションが存在します。これらのサービス同士が連携して、便利な機能を提供している場面をよく見かけます。例えば、地図アプリが飲食店情報を表示したり、SNSで共有ボタンを押すと別のアプリに情報が送られたりするような場合です。
このようなサービス間の連携を実現するために重要な役割を果たしているのが「API」です。APIは「Application Programming Interface(アプリケーション プログラミング インターフェース)」の略称です。
APIを簡単に言うと、あるソフトウェアやサービスが、別のソフトウェアやサービスに対して機能やデータを提供するための「窓口」や「約束事」のようなものです。
レストランでお客さんがメニューを見て注文し、店員さんが厨房に伝えて料理が運ばれてくる、という流れをイメージしてみてください。この場合、店員さんがお客さんと厨房の間を取り持つ「窓口」であり、「注文の仕方」や「料理の提供方法」といった約束事がAPIに当たります。お客さんは厨房の詳しい仕組みを知らなくても、店員さん(API)を通してサービス(料理)を受けられます。
ITの世界では、この「お客さん」が別のソフトウェアやサービス、「厨房」が機能やデータを持っているソフトウェアやサービス、「店員さん」がAPIにあたります。
APIの基本的な仕組み
APIを利用する際の基本的な流れは以下のようになります。
- リクエスト(要求): あるソフトウェア(クライアント)が、別のソフトウェア(サーバー)に対して、「この情報が欲しい」「この機能を使いたい」といった要求を送ります。この要求を「リクエスト」と呼びます。
- 処理: リクエストを受け取ったサーバー側のソフトウェアは、要求された内容に基づいて処理を行います。
- レスポンス(応答): 処理の結果として、サーバーは要求された情報や処理の成功・失敗といった応答をクライアントに送り返します。この応答を「レスポンス」と呼びます。
このリクエストとレスポンスのやり取りを通じて、サービス間でデータの受け渡しや機能の利用が行われます。特にインターネットを介して行われるAPIのやり取りは「Web API」と呼ばれ、多くのサービスで利用されています。Web APIでは、データの形式として「JSON」や「XML」といった共通の形式がよく使われます。
APIを使うメリット
APIを利用することには、様々なメリットがあります。
- 開発効率の向上: 既存のサービスが提供するAPIを利用することで、ゼロから同じ機能を作る必要がなくなります。例えば、地図機能が必要なら、地図サービスのAPIを使えば、地図の表示や検索機能を簡単に組み込めます。これにより、開発にかかる時間やコストを大幅に削減できます。
- サービス連携の容易化: 異なる企業や個人が開発したサービス同士でも、APIを介して容易に連携させることができます。これにより、単体では実現できなかった新しいサービスや機能を生み出すことが可能になります。
- 新しいビジネスの創出: 自身のサービスの一部やデータをAPIとして公開することで、他の開発者がそれを利用した新しいサービスを開発できるようになります。これは、プラットフォームとしての価値を高め、エコシステムを形成することにつながります。
身近なAPIの利用例
APIは私たちの身近なところで数多く利用されています。
- SNS連携ログイン: ウェブサイトやアプリで「〇〇アカウントでログイン」というボタンを見たことがあるかと思います。これは、そのウェブサイト/アプリがSNSのAPIを利用して、ユーザー認証を行っている例です。
- 地図サービスの利用: ウェブサイトに地図が表示されている場合、その多くはGoogle Maps APIなどの地図サービスのAPIを利用しています。これにより、開発者は複雑な地図描画や検索機能を自社で開発することなく利用できます。
- オンライン決済: ショッピングサイトなどでクレジットカード情報を入力して決済を行う際に、決済代行サービスのAPIが利用されています。これにより、サイト側はセキュアな決済システムを自社で構築することなく導入できます。
まとめ
APIは、異なるソフトウェアやサービスの間で機能やデータを連携させるための重要な技術です。APIがあることで、開発者は既存の機能を活用し、効率的に新しいサービスを開発できます。また、サービス間の連携が容易になり、これまでになかった便利な機能やビジネスが生まれる可能性が広がります。
IT業界で働く上で、APIは様々な文脈で登場する基本的なキーワードの一つです。APIがサービス間の「窓口」として機能し、どのようにデータや機能がやり取りされているのか、その概要を理解しておくことは、社内のエンジニアとのコミュニケーションや、最新のITサービスの仕組みを理解する上で非常に役立つでしょう。