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アジャイル開発とは何か? 仕組みとメリットをやさしく解説

Tags: アジャイル開発, スクラム, ソフトウェア開発, 開発手法, プロジェクトマネジメント

近年、ソフトウェア開発の現場で「アジャイル開発」という言葉をよく耳にするようになりました。これは、変化の激しい現代において、より迅速かつ柔軟に開発を進めるための考え方や手法です。

従来の開発手法と比較しながら、アジャイル開発の基本的な考え方や仕組み、そしてメリットについて分かりやすく解説します。

アジャイル開発とは

アジャイル(Agile)とは、「素早い」「機敏な」といった意味を持つ言葉です。アジャイル開発は、この言葉の通り、短い開発サイクルを繰り返し、変化に素早く対応しながらプロダクト(ソフトウェアやサービスなど)を開発していく手法の総称です。

従来の代表的な開発手法である「ウォーターフォール開発」では、最初に全ての要件を詳細に定義し、設計、実装、テストといった各工程を一つずつ順番に進めていきます。まるで滝のように上流から下流へ一方通行で進むことから、このように呼ばれます。計画がしっかりしている反面、途中で仕様変更が発生すると手戻りが大きく、対応に時間がかかるという側面があります。

それに対してアジャイル開発は、最初から完璧な計画を立てるのではなく、まずは最低限の機能を持った小さな単位で開発を進め、実際に動くものを作りながら顧客のフィードバックを受け、軌道修正を重ねていきます。

アジャイル開発の基本的な考え方

アジャイル開発の考え方は、2001年に発表された「アジャイルソフトウェア開発宣言」にまとめられています。この宣言では、以下の4つの価値と12の原則が示されています。

重要な考え方としては、以下の点が挙げられます。

これらの考え方に基づき、短い期間で「計画→設計→実装→テスト」といった一連の工程を繰り返し行いながら開発を進めます。この短い開発期間の単位を「イテレーション」や「スプリント」と呼びます。

アジャイル開発の代表的な手法「スクラム」

アジャイル開発にはいくつかの具体的なフレームワークがありますが、最も広く使われているものの一つに「スクラム」があります。

スクラムは、アジャイルの考え方を実践するためのシンプルなフレームワークです。スクラムでは、以下の3つの役割、5つのイベント、3つの作成物を定義しています。

スクラムでは、これらの要素を組み合わせて、短いサイクルで開発と改善を繰り返していきます。

アジャイル開発のメリット

アジャイル開発を導入することで、以下のようなメリットが期待できます。

まとめ

アジャイル開発は、変化が激しい現代において、ソフトウェアを迅速かつ柔軟に開発するための有効な手法です。全てのプロジェクトに万能なわけではありませんが、特に要件が曖昧な状態からスタートするプロジェクトや、市場の変化に合わせて柔軟に対応したいプロジェクトなどでその力を発揮します。

社内のエンジニアがアジャイル開発でプロジェクトを進めている場合、このような基本的な考え方や、スクラムのようなフレームワークの要素を知っていると、会話がスムーズに進み、開発の状況や進捗を理解しやすくなります。

アジャイル開発は、単なる開発手法にとどまらず、チームの文化や働き方にも影響を与える考え方と言えるでしょう。